お酒関係の「5大〇〇〇」といえば何が思いつきますか?
5大シャトー
5大ブランデー
5大ウイスキー
がすぐ思いついた方は、なかなかお酒に関心があると伺えます。
今回は5大ウイスキーについて取り上げますが、スコッチウイスキー、ジャパニーズウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、アイリッシュウイスキーまではみなさんご存じだと思います。
ではもう一歩踏み込んで、それぞれの代表的なメーカー・銘柄も挙げられるでしょうか?
それぞれの特徴と一緒にご紹介していきます。
スコットランドで生産されるウイスキーの総称をスコッチといいます。
スコットランドの生産エリアは下記6つに分かれています。
・スペイサイド
・ハイランド
・ローランド
・アイランズ
・アイラ
・キャンベルタウン
スコットランドの蒸溜所の約半数がスペイサイドエリアに集中していることと、アイラ島の産業のほとんどがウイスキーに関連することから、スペイサイドとアイラ島は「スコッチの聖地」と呼ばれています。
スコッチの定義はざっくり以下のような内容です。
・原料は水、大麦麦芽、穀物、酵母、無味カラメル着色料以外は使用しないこと
・スコットランドの蒸溜所でアルコール度数94.8%以下で蒸溜すること
・700リットル以下のオーク樽で3年以上熟成させること
・アルコール度数40%以上で瓶詰めすること
ウイスキーの全生産量のうち約7割がスコッチで、この製法は世界中のウイスキー作りのお手本になっています。
そんなお手本ウイスキーの中で王道の銘柄をご紹介します。
シングルモルト/スペイサイド
高級シングルモルトの代名詞として知られるマッカラン。
スコッチに限らず、高級ウイスキーのトップといっても過言ではないでしょう。
マッカランの特徴は「リッチで華やかな味わい」。
ベストオブベストを追求した贅沢な製法がこの味わいを作り出しています。
マッカランについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
1本1000万円超え!生産数わずか15本!ヴィンテージマッカランの魅力
高級ウイスキー「マッカラン」はなぜ高級なのか?世界中から愛される理由は?
https://l-auction.com/high-priced-item/vintagemacallan/
代表銘柄
ザ・マッカラン シェリーオーク 12年
シングルモルト/スペイサイド
ウィリアム・グラント&サンズ社が販売するシングルモルトウイスキー。
創業から現在まで家族経営で続いており、ブレンデッドウイスキーが主流の1963年に世界で初めて「シングルモルト」を販売してシングルモルト人気のきっかけを作りました。
グレンフィディックの特徴は「フルーティな風味」。
製造の各工程にスペシャリストを配置し、徹底した品質管理で伝統的な製法を守り続けています。
ラベルにはグレンフィディックの意味「鹿の谷」から、鹿の絵柄が施されています。
また個性的な三角形のボトルは、ウイスキー作りで重要な3要素「麦芽」「水」「風土」を表しています。
代表銘柄
グレンフィディック12年
ブレンデッド/ローランド
1人の青年ジョン・ウォーカーが食料雑貨店を開業し、扱っていた紅茶やスパイスのブレンド技術を応用してウイスキーもブレンドして販売したことがジョニーウォーカーの始まりです。
原酒はスコットランドのいたるところに眠っており、その数なんと700万樽以上。
その中から数十種類の原酒を厳選するブレンディング技術は、何代にも渡って磨き続けられてきた結果、世界で年間1億2000万本も販売されている大人気ウイスキーとなりました。
ジョニーウォーカーの特徴は「スモーキーさとほのかな甘み」。
見た目はすべて四角いボトルになっており、四角くした理由は発売当初、船で輸出する際、丸いボトルだと箱の中でボトルが動いて割れてしまうのを防ぐための対応策でした。
箱と同じ四角にすることで、箱との余白を少なくして揺れる動きを小さく抑え、割れにくくしたそうです。
ボトルの形に加え、ラベルを斜めに貼るという他にないデザインにすることで、誰もがジョニーウォーカーを覚えやすく、イメージしやすくなったのも人気を後押しした要因と思われます。
代表銘柄
ジョニーウォーカーブラックラベル12年(通称:ジョニ黒)
シングルモルト/アイラ
ボウモア蒸留所はアイラ島最古の蒸溜所です。
海に面した場所で造られているため、ピートも製麦工程も潮風の影響を受け、ほんのり塩気がありスモーキーな味わいなのが特徴で、「海のシングルモルト」とも言われています。
昔ボウモア蒸溜所には「スモーキー」という名前のウイスキーキャット(原料の穀物を狙って侵入してくるネズミの対策で飼われていた猫)がいたそうで、イギリスでもっとも美しい猫に選ばれたこともあるほどの美猫だったという話もあります。
代表銘柄
ボウモア12年
ブレンデッド/スペイサイド・ハイランド・ローランド・アイラ
1827年、ジョージ・バランタインによって創業されスコッチウイスキーの代名詞として名高いウイスキーメーカーです。
ボトルの中央には格式高い紋章のデザインがされており、大麦、清流、ポットスチル、樽といったウイスキーづくりの4大要素が描かれています。
数十種類におよぶモルト原酒をブレンドしており、複雑でありながらも滑らかな味わいが特徴のウイスキーです。
代表銘柄
バランタイン17年
ブレンデッド/スペイサイド
スペイサイドを代表するシーバスブラザーズ社のブランドです。
1786年にスペイサイドに設立されたストラスアイラ蒸溜所の原酒を使用しており、この蒸溜所はスコットランドで最初に酒造免許を取得した最古の蒸溜所と言われています。
爽やかでフルーティな味わいとナッツの香ばしい香りが特徴です。
スタンダードな銘柄はシーバスリーガル12年、
日本原産のミズナラ樽でフィニッシュをしたシーバスリーガルミズナラや
日本酒を寝かせた樽を使用したシーバスリーガル匠リザーブなど
日本に関するラインナップがあるのは嬉しいポイントですね。
代表銘柄
シーバスリーガル12年
他のウイスキーと同様に以下の厳正な規定に基づいて醸造されており、この基準を満たした物がカナディアンウイスキーと名乗ることが許されます。
カナディアンウイスキーの定義
・原料は穀物のみで、麦芽などで糖化、酵母などで発酵すること。
・蒸留、熟成をカナダ国内で行うこと。
・700リットル以下の木樽を使用して3年以上熟成させること。
・瓶詰めする際に、アルコール度数40%以上であること。
・カラメルまたはワインやブランデー、スピリッツなどのフレーバリング(香味付けに使用する他の酒)などを添加してもよい。
カナディアンウイスキーで最も特徴的と言えるのが「フレーバリングを添加しても良い」という点です。
これによりカナディアンウイスキーの表現の幅が広がっていると言えます。
香味付けでは主に、バーボンやブランデー、酒精強化ワインが加えられることが多く、この工程により口当たりがマイルドでありながらも香り豊かなウイスキーに仕上がっています。
150ヵ国以上の人々に「C.C.」の愛称で親しまれている、スッキリとした味わいとほのかな甘い香りが特徴のウイスキーです。
カナダでのウイスキー造りの先駆者でもあり、マイルドで飲みやすいことからウイスキー初心者にもおススメの銘柄となっています。
代表銘柄
カナディアンクラブ
イギリス国王ジョージ6世がカナダを公式訪問した際に献上されたことが名前の由来で、王冠をデザインした金色のキャップとラベルのボトルデザインが特徴です。
日本では輸入元であったキリンビール株式会が2021年4月で出荷を終了してしまったため、現在は並行輸入もしくは古酒販売からのみ入手が可能となっています。
代表銘柄
クラウンローヤルデラックス
ウイスキーは糖分を含まないお酒でありながらも、ジャパニーズウイスキーには優しい甘みが感じられるのが特徴です。
樽材にミズナラ木を使用して熟成させることで特徴的な伽羅(キャラ)や白檀(ビャクダン)、ハチミツを思わせるような何とも言えない甘い香味がウイスキーに付与されます。
日本でのハイボールのブームやジャパニーズウイスキーの評価・人気が国内外で高まっているため、原酒は不足気味になってしまい、高額で取引される銘柄もあります。
ジャパニーズウイスキーの定義
・原料は麦芽、穀類、日本で採水された水のみ。
・糖化、発酵、蒸溜、熟成、瓶詰めを日本国内で行うこと。
・700リットル以下の木樽で3年以上熟成すること。
・瓶詰め時のアルコール度数は40%以上にすること。
・色調整としてカラメルを使用しても良い。
日本で初めての本格ウイスキー「白札」から始まり、安価で定番の角、様々な賞を受賞し世界的にも人気の高い「山崎」「白州」「響」を製造しているメーカーで、日本でのハイボールブームの火付け役でもあります。
2023年にはサントリーウイスキーは100周年を迎え、日本を代表する老舗のウイスキーメーカーの1つになっています。
ボトルデザインへのこだわりもみられ、響は過去にスペシャルボトルコレクションとして有田焼、九谷焼の陶器ボトルが販売されていたこともあります。
現在では山崎、白州、響から毎年限定エディションのボトルが抽選販売されています。
代表銘柄
山崎12年シングルモルト
「日本で本物のウイスキーをつくりたい」という創業者・竹鶴政孝の情熱から生まれたウイスキーメーカーです。
朝ドラ「マッサン」の題材になったこともあり、近年のウイスキーブームの一因ともなったメーカーでもあります。
手頃な価格でスッキリした味わいが楽しめるブラックニッカ、北の蒸溜所で丁寧に作られた余市や宮城狭などがあります。
余市と宮城狭をブレンドし創業者の竹鶴氏の名前が付けられた「竹鶴」は朝ドラの影響も強く一度は耳にしたことがある方も多いと思います。
代表銘柄
竹鶴12年
サントリー、ニッカに次ぎ小規模生産者でありながら世界的に人気を集めています。
創業者・肥土伊知郎(あくといちろう)氏の実家の酒造メーカーが他社へ譲渡される際、ウイスキー事業は廃業することとなり廃棄に追い込まれた熟成中のウイスキー400樽を肥土氏は見捨てることができず、1人でバーへ営業に行き売り切ったところから始まったクラフトウイスキーメーカーです。
フラッグシップボトルである“イチローズモルト”シリーズは、
他社蒸溜所と原酒を交換してそれぞれの地で熟成したのちヴァッティング、ボトリングして発売したり、
トランプカード全54種類の絵柄をラベルに施し中身もすべて別のもので発売したりと、
ユニークな展開でファンを楽しませてくれる生産者です。
代表銘柄
イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル
キリンのお酒と言えばビールをイメージされる方も多いですが、静岡の富士御殿場に蒸溜所を構えており、ジャパニーズウイスキーである「富士」をはじめ「陸」や「富士山麓」などの国産ウイスキーを造っています。
ジョニーウォーカーやホワイトホースといった有名なスコッチやバーボンの輸入販売にも力を入れているメーカーです。
代表銘柄
富士シングルモルト
日本最小のポットスチルで造られている、2016年に稼働開始した国産ウイスキーメーカーです。
世界的にも評価されている海外原酒をベースにした「AMAHAGAN(アマハガン)」をはじめ、アニメやゲーム、アーティストとのコラボウイスキーも多く販売されています。
あまり市場に出回ることのないニューメイクウイスキーをボトル販売するなど柔軟な発想が特徴的なメーカーでもあります。
代表銘柄
長濱シングルモルト
岩井喜一郎氏の指導のもと、1949年にウイスキー造りが始まりました。
岩井氏は摂津酒造勤務時代、竹鶴政孝氏(ニッカ創業者)の上司であった人物です。
代表銘柄であるマルスウイスキーというブランド名は、本坊酒造創業時のイメージシンボル「星」を元に、一般公募で選ばれた 「マルス(火星)」から名付けられました。
「マルス エクストラ」や「駒ヶ岳」など日本のクラフトウイスキーを代表する銘柄として国内外問わず人気があります。
代表銘柄
マルスウイスキー
アイルランド島で生産されているウイスキーで、モルトを乾燥させるのにピート(泥炭)を使わないので、スコッチウイスキーのような力強い風味やスモーキーさがなく穏やかな味わいのものが多いのが特徴です。
穀物の味わいがより強く感じられます。
アイリッシュウイスキーの定義
・原料は穀物のみ
・麦芽の酵素で糖化し、酵母で発酵する
・アルコール度数94.8%以下で蒸溜すること
・700リットル以下の木樽で3年以上熟成させること
・糖化、発酵、蒸溜、熟成をアイルランド島で行うこと
・瓶詰め時のアルコール度数が40%以上であること
アイリッシュウイスキーの伝統的な製法を守って造られる銘柄で、100%アイルランド産のノンピート麦芽を使用しライトな口当たりとフルーティーな香りが特徴です。
ウイスキー初心者の方にもおススメの銘柄で、ストレートからカクテルまでどんな飲み方にも合います。
代表銘柄
ブッシュミルズ
銘柄にもなっている通り、アイルランドのコーク州にあるミドルトン蒸留所で造られているウイスキーです。
代表するボトルは「ミドルトンベリーレア」で、ミドルトン蒸溜所が頂点に達した良質の樽を厳選して樽詰めし、毎年数量限定でリリースされています。
代表銘柄
ミドルトンベリーレア
こちらの銘柄もミドルトン蒸留所で造られているウイスキーです。
ポットスチルウイスキーと上質のグレーンウイスキーを3回蒸留しブレンドすることによって、よりフルーティーで滑らかな味わいになっています。
ポットスチルウイスキーとは、アイルランドでのみ造られるウイスキーで、原料は大麦麦芽、未発芽麦芽、オート麦、小麦、ライ麦などを使い、単式蒸溜所で3回蒸溜して造る伝統的なウイスキーです。
代表銘柄
ジェムソンスタンダード
一番の特徴はなんといってもアイリッシュで唯一のスモーキーフレーバーのついたウイスキーという点です。
スコッチのモルトウイスキーの製法と同じ初溜、再溜の2回蒸溜しピーテッド麦芽を使用することによって軽やかな口当たりながらもスモーキーさもあるカネマラ特有の味わいを生み出しています。
代表銘柄
カネマラ
アメリカ合衆国で生産されるウイスキーで味わいは他の地域で生産されるウイスキーよりも軽いのが特徴となっています。
基本的にトウモロコシ・ライ麦・大麦麦芽の3種類を使用して造られ、オーク樽で熟成して造られるのも特徴の一つとなっています。
アメリカンウイスキーは大きく5つに区分されます。
1.バーボンウイスキー(テネシーウイスキー)
2.コーンウイスキー
3.モルトウイスキー
4.ライウイスキー
5.ウィートウイスキー
原料、製法によって区分されています。
恐らくみなさんがよく耳にするのは「バーボンウイスキー」と思われますので、バーボンウイスキーの定義をご紹介します。
バーボンウイスキーの定義
・アメリカ国内で製造すること
・原料にトウモロコシを51%以上使用すること
・連続式蒸留器でアルコール度数を80%以下になるよう蒸溜し、
ニューポットをアルコール度数62.5%以下になるよう加水する
・内側を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成すること
・アルコール度数40%以上で瓶詰めすること
上記に加え、下記の条件を満たすと「テネシーウイスキー」になります。
テネシーウイスキーの定義
・バーボンの定義を満たしていること
・テネシー州で製造すること
・チャコールメローイング製法で作られていること
チャコールメローイング製法とは、ニューポットをサトウカエデの木炭で3~5日かけてゆっくりろ過する工程です。
これにより口当たりがまろやかに変化します。
ブランド名の由来は1940年にオースティン・ニコルズ社(飲料中心の卸売業社)の社長、トーマス・マッカーシーが自慢のバーボンを七面鳥ハンティング仲間に振舞った際に、仲間の一人が七面鳥にちなんで「ワイルドターキー」と名付けたことが由来になっています。
オーク樽特有の甘いバニラ香が特徴的で、口当たりも軽く飲みやすいウイスキーです。
代表銘柄
ワイルドターキー8年
1984年にケンタッキーの州都フランクフォート市の市制200年を記念して誕生したウイスキーです。
ボトリングからラベリングまで全て手作業で、ラベルに記された日付や登録番号はひとつとして同じものがない丁寧な手書きで書かれています。
キャップ部分は一番の特徴とも言えるケンタッキーダービーのサラブレッドをかたどった全8種類のフィギュアとなっており、それぞれ騎手や馬の動きが異なっているので、コレクションする方も多くいらっしゃいます。
代表銘柄
ブラントンオリジナル
アメリカのケンタッキー州200年以上の長い歴史を誇り、世界売上No.1を誇るバーボンウイスキーです。
手頃な価格で試しやすく、フルーツやハチミツのフレーバーなどの飲みやすい“バーボンリキュール”なども多く、ウイスキーが飲み慣れていない方にもオススメのウイスキーとなっています。
バーボンリキュール(ウイスキーリキュール)とは、バーボンにフルーツなどのスピリッツを加えた、バーボンベースのリキュールです。
代表銘柄
ジムビーム
赤い蠟封が特徴的なボトルのクラフトウイスキーです。
ウイスキーの原料にも特徴がありバーボンを造る際、一般的にはライ麦が使用されますが、メーカーズマークでは冬小麦を使用しており、特有のバニラのような甘みとまろやかさを生み出しています。
伝統的な製法を守りながら1本1本丁寧に造られており、蝋封やラベルのカッティングは今でも手作業で行われています。
代表銘柄
メーカーズマーク
テネシーウイスキーといえばジャックダニエルです。
しっかりした甘みとオーク香が特徴で、ジャックダニエルをコーラで割るジャックコークというカクテルは手軽で飲みやすいため是非1度は試して頂きたい組み合わせです。
定番ボトルのジャックダニエル ブラック(オールドNo.7)で、ハチミツのフレーバーをつけた“ジャックハニー”や、2回木炭を通してろ過した“ジェントルマンジャック”などもあります。
代表銘柄
ジャックダニエル ブラック(オールドNo.7)
5大ウイスキー各国の代表メーカー、代表銘柄を紹介してきました。
それぞれに特徴があり、全部並べて飲んでみたくなりますね。
今回ご紹介した以外のお酒も数多く店頭やオンラインショップ、Lオークションにて取り扱っておりますので、ぜひ覗きにお越しください!