シャンパンを祝い事の席で初めて飲んだ!という方は多いのではないでしょうか?
細長いグラスで泡立ちの続くワインを見ていると高揚感が高まりますよね。
ところで、いつごろからシャンパンはそんな晴れの日のイメージが付いたのでしょうか。
また、スパークリングワインの中の最高品をシャンパンと呼ぶ?なぜ泡立っている?
考えると疑問が沸き上がってきますよね。
そこで改めて【シャンパン】について知識を深めていきましょう!
【シャンパン/シャンパーニュ】とは地方名です。
フランスのパリ北東部約150km東に位置する約3.3万haに及ぶ産地【シャンパーニュ地方】で収穫された特定の品種のブドウだけを使い、シャンパーニュ方式で作られたガス圧5気圧以上の発泡性ワインのことを指します。
これはAOCというフランスで施行されている制度で決められています。
シャンパーニュ地方では紀元前よりブドウの栽培がおこなわれていました。
この頃シャンパーニュ地方を統治していたのはローマ帝国で、当時のこの地方に平原という意味でCampagne(カンパーニュ)と名付けられた説があり、作られていたのは泡無しの赤ワインでした。
中世までは赤ワインが多く作られていましたが、ブドウ栽培において北限の地であり、太陽の光が少ないため他の地域のような濃い色合いの赤ワインを作ることができませんでした。
そこで白ワイン作りに励むようになりました。この白ワインはイギリスでよく売れ、樽のまま輸出されました。
春を迎え温かくなってきた頃、このワインから泡が湧き出していることを見つけたイギリス人はボトルに詰め替え栓をし、泡を閉じ込めました。
極寒の時期にシャンパーニュで作られたワインはアルコール発酵が途中で止まってしまったため、温かくなった頃に発酵が再開されて泡となったのでした。
イギリス人たちはこの発見を大いに喜び、より安定してワインを発泡させる方法を研究しだします。
1662年イギリスの医師であるクリストファー・メレットが、当時の酒屋が行っていた発泡性ワインの作り方を論文にして発表しました。
そこには「近頃の酒屋では、ワインを発泡させるためにあらゆるワインに大量の糖蜜を加えている」と書かれており、この記述がシャンパン製造の基礎となっていきます。
一方、シャンパーニュ地方では泡無しワインを作ることに試行錯誤が繰り返されていました。
土地柄の影響でブドウの品質は安定せず、ワインになっても酸味の強すぎる傾向にあった為、ワイン同士をブレンドすることによって安定を図っていきました。
特にドン・ピエール・ペリニヨン修道士は様々な品種・産地を研究し調合を重ねることでバランスや品質の高いワインを作り出しました。
この手法は現在も続いており、シャンパーニュの安定性に一役買っています。
シャンパーニュが現在の形となったのは18世紀に入ってからといわれています。
それまではガラスの精製の技術がイギリスに劣るもので、さらにストッパーもコルクを使っておらず、麻や木を使った簡易的なものでした。
瓶詰めしても暴発することがありボトルによる輸送は禁止されていましたが、1728年になって広くガラス瓶での輸送が広がりました。
現在の形の泡ありのワインであるシャンパンが広く知れ渡るようになったのは1575年、シャンパーニュ地方にあるノートルダム大聖堂で行われたアンリ三世の戴冠式で、シャンパンのみが配られたことがきっかけといわれています。
ノートルダム大聖堂は古くよりフランス王室の戴冠式が行われた場所で、それまで長らく赤ワインがメインの祝いの酒として使われていました。
それが、この機を境にシャンパンが新たな祝いの酒として広く認知されることとなったのです。
8月中旬から2、3週間の間にブドウの収穫を行います。
ブドウの収穫開始日は毎年異なり、シャンパーニュ地方のブドウ栽培者たちがブドウの監視を行い、酸味と成熟度のバランスがちょうどよい時を見計らって決めます。
シャンパーニュ地方の収穫はすべて手作業です。
ブドウの皮が傷つかないように最善の注意を払い進められます。
収穫したブドウを圧搾機にかけます。
絞られたブドウは一番搾り〔キュヴェ〕と二番絞り〔タイユ〕の果汁に分けます。
4,000kgのブドウから2,050L〔キュヴェ〕、500L〔タイユ〕が絞れます。圧搾するときに房のまま入れてゆるやかに圧をかけるので、黒ブドウでもほとんど色素が出ません。
搾り取った果汁はタンクに集め、1日かけて不純物を沈殿させます。
その後アルコール発酵に移ります。
12月から1月にかけて発酵が終わった原酒と複数年のリザーブワイン(ブレンドするためにストックされているワイン)をブレンドし、品質を決定していきます。
これはシャンパーニュの不安定ながら個性的であるワイン同士を合わせることによって安定的な品質、ブランドのイメージを表現するために行われます。
とりわけ素晴らしい収穫年にできたワインは同じ年のワイン同士で合わせ、ヴィンテージシャンパーニュとして作られます。
収穫翌年1月1日以降にアサンブラージュされたワインを瓶詰します。
この時に、蔗糖と酵母をスティルワインに混ぜた〔リキュール・ド・ティラージュ〕を加えます。
これを加えることで、瓶内で炭酸ガスが作られます。
瓶詰が終わったボトルは最低15カ月の間、カーヴと呼ばれる洞窟で熟成されます。
この長い期間に発酵による発泡、発酵を終えた酵母が澱となり浮遊し、ワインの中で少しずつ分解が始まります。
一連の流れによって新たなアロマが形成され、深く成熟したワインへと成長します。
熟成が終わったボトルから澱を取り除きます。
まず、ボトルを逆さにして澱を瓶口に集めます。その後約-27度の溶液に浸し、口元だけを凍らせます。
最後はボトルの栓を開けると炭酸の圧力で凍った澱だけ飛び出させます。
最後に蔗糖とシャンパンの原酒を合わせたリキュールを加えます。
ブリュットの場合、750mlに対して約10mlの割合です。
ここで添加されるリキュールの量・糖度によって甘み・スタイルが変わるわけです。
ここでラベルに書かれている用語をまとめてご説明いたします。
あの時飲んだシャンパンって何だったのか?
それはラベルを見たらタイプがわかります。
シャンパンには辛口から甘口まで大まかに7種類あります。
前述したドサージュで決まります。
・Extra Brut 残糖度0~6g/L・・・極辛口
・Brut Nature 残糖度3g/L未満・・・超辛口
・Brut 残糖度6~12g/L・・・辛口
・Extra sec 残糖度12~17g/L・・・やや辛口
・Sec 残糖度17~32g/ L・・・やや甘口
・Demi sec 残糖度32~50g/ L・・・甘口
・Doux 残糖度50g/ L~・・・極甘口
このほかに、ドサージュ・ゼロ/ノン・ドサージュなど、リキュール添加をしていないものもあります。
ヴィンテージ(Vintage)/ミレジメ(Millésimé)
特に良質なブドウが収穫できた年にのみ作られ、一度目の瓶詰から3年以上経ってからの販売となるシャンパン。
収穫年を記載することが認められています。
生産量の20%をリザーヴワインとして保管することが義務づけられています。
ノン・ヴィンテージ(Non Vintage)/ノン・ミレジメ(Non Millésimé)
異なる品種・畑・年代のワインをブレンドして作られたシャンパン。
ブランドブラン(Blanc de Blancs)・・・シャルドネのみで作られたシャンパン
ブランドノワール(Blanc de Noirs)・・・ピノ・ノワールとピノ・ムニエのみで作られたシャンパン
プレステージ・キュヴェ(Prestage Cuvee)/キュヴェ・プレステージ(Cuvee Prestage)
各メゾン(生産者)が最も力を入れて製造するフラッグシップ。
その多くはヴィンテージであり、特に良い区画で育ったブドウを使うなど拘りが詰まった1本。
中には10年以上の熟成期間を経ているものもあります。
ここで特に有名な銘柄(ブランド)をご紹介いたします。
1905年に初めてヴィンテージサロンを世に出してから、単一のテロワール、単一のブドウで造られたヴィンテージシャンパンのみを生み出し続けています。
ブドウの生育が良い年しか作られることが無く、約10年の期間を経て熟成されます。
1901年から2000年までの間に生産されたヴィンテージはわずか37しか出されていないのが驚きです。
JAL国際線ファーストクラスで提供されたワインとしても話題となりました。
モエ・エ・シャンドン社が、ドン・ピエール・ペリニヨン修道士の育てていたブドウ畑を所有したことから始まります。
同社のフラッグシップブランドとして1936年に初めてヴィンテージ1921を発売、ロンドン・ニューヨークを中心に人気が高まりました。
特筆すべきなのは、最低でも8年以上熟成期間を置く程レベルの高い銘柄でありつつ、生産量が1つのヴィンテージで約40万ケースと言われるほど多くを生産できることです。
このことから、高度な醸造技術・品質管理が組織的に行き届いていることが想像できます。
1949年から家族経営で醸造を続けているジャックセロス。
現当主アンセルム・セロスは「良いシャンパーニュは良いワインからしか生まれない」と語るように、一次発酵から新樽を使うなど、ブルゴーニュと遜色ない製造を行う数少ない生産者です。
自らブドウを育てるところからシャンパンの製造までを行う為、細部まで目が届く代わりに年間生産量が4,000ケースと非常に少ない為、入手困難な銘柄となっております。
1772年に設立してから現在のような世界的に有名メゾンへと成長させたのは、27歳で未亡人となったマダム・クリコでした。
彼女はシャンパン製造の中の澱引きの方法を確立させたり、ブレンド方法を編み出したり、近代シャンパン製造の土台を作り上げた人物です。
ブランド名は自らの名前を付け「ヴーヴ・クリコ(クリコ未亡人)」としました。
1811年ピエール・ニコラ・ペリエとローズ・アデル・ジュエの結婚によって創業した老舗シャンパーニュメゾン。
その当時あまり選ばれていなかった品種「シャルドネ」をメインとし、それまで甘口が主流だった中、辛口のシャンパンとして発売しました。
1902年にキュヴェ・ベルエポックが完成します。
名前の意味は「良き時代」。これはフランスにおいて1914年から第一次世界大戦が勃発するまでのころを指し、あらゆる文化・美術・生活までもが一転し、より現代に近づいたことを意味しています。
このボトルにはアールヌーヴォーの巨匠であるエミール・ガレが日本の白いアネモネを描いており、まさしく当時のフランス文化を象徴したデザインとなっています。
1625年より家族経営として続いているキャティア社が、アパレルブランド「クレージュ」のファッションイベント用に限定で生産したことがきっかけで、生産が始まりました。
これまでにない最上級のキュヴェを作るため、試行錯誤を重ねた結果、2006年にファーストボトルが完成しました。
その後シャンパンの品評会において、他社のシャンパンを押さえ1位を獲得したことにより、世界中のセレブ達が愛飲するようになりました。
2017年にアメリカのヒップホップアーティストのJAY-Zが買収し、現在はモエ ヘネシー ディアジオの傘下ブランドとなっています。
シャンパンについてはまだまだたくさんの魅力があり、それを作り出す土地であったり生産者であったり、挙げるときりがないほどです。
今度飲む機会があれば是非思い出しながら味わってみてください。
そして、シャンパン通のみなさま!
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探しているという方も、売ろうか迷われている方も是非ご参加お待ちしております。