ウイスキー、ブランデー、ワイン、焼酎、日本酒などのいただきものを長期間保管している方、まだ飲めるか気になりませんか?
基本的にはお酒には賞味期限はないとされていますが、保管状態によってはそうとは限りません。棚の奥にしまっていたお酒を見つけて飲んでおなかを壊してしまうなんてことにならないように、事前に本記事を確認してから飲むことをおすすめいたします。
アルコール度数が10度以上の場合、微生物が繁殖しにくい環境です。食品衛生法上、アルコール自体に殺菌作用があるため腐敗しにくい性質になっているということが認められ、賞味期限の表示義務が省略されているのです。
また、お酒は微生物によって腐敗するというよりも時間経過による熟成や酸化で風味が変化するものです。この変化は必ずしも品質の劣化ではなく、ウイスキーやワインの場合は価値が高まるものもあります。
お手元のお酒の状態が劣化しているのか、または熟成が進んでるのか、見極められるようになりましょう。
ほとんどのウイスキーがアルコール度数が40度以上と高く、雑菌の繁殖のもとになるたんぱく質や糖質が含まれていないため、品質の劣化が起こりにくいお酒です。
未開封であれば半永久的に保管し飲むことができます。
一度開封して空気に触れることで酸化が起こり、徐々に品質が劣化していきます。香り、味わいに変化が生じ、色が少し濃くなることもあります。
開封後においしく飲める期間は、半年~1年以内とされています。
・濁り
透き通っていたウイスキーが濁っている場合は、温度変化や光の影響で成分が析出(液体の成分が固体として分離すること)したり、微生物による汚染が起こったりしている可能性があります。
・色の変化
色が極端に薄くなったり濃くなっている場合は、光の影響を受けていたり、栓の不具合による酸化が進んでいることが考えられます。
・香りの変化
開封してから時間が経つと香りが弱くなってきます。栓がしっかりされていないとアルコールが揮発してしまうことで殺菌作用を失い、品質が劣化する可能性があります。
香りが弱くなる以外にも、酸っぱい臭いや薬品のような臭いがする場合は間違いなく劣化しているので飲まずに処分しましょう。
・味の変化
味が薄くなったり、風味が弱く味がぼやけて感じられることがあります。また酸化が進むことで酸味や苦みが出ている場合は飲むのをやめましょう。
・直射日光を避ける
紫外線はウイスキーを劣化させる原因になるので、日の当たらない棚の中などに保管しましょう。
・温度・湿度変化の少ない場所に保管する
夏は暑く多湿、冬は寒く乾燥するような場所に置くと、ウイスキー本来の香り成分が失われる可能性があります。
急激な温度変化によりコルク栓が膨張・縮小し、わずかな隙間ができることでそこから空気が侵入し酸化してしまいます。
またウイスキーの香味成分が析出し、沈殿物ができることがあります。
高温状態ではアルコールが揮発し本来の香り成分が抜けて劣化しやすくなったり、コルク栓にカビが発生し液体にも影響を及ぼす危険性があります。
・ボトルを立てて保管する
ボトルを横にして保管すると、アルコール度数が高いウイスキーはコルクを侵食して劣化させ、コルクが腐ったり液漏れの原因になります。
ウイスキーと同様アルコール度数が40度以上のものが多く、微生物が繁殖しにくい環境です。ウイスキーと違いブランデーの原料はブドウのため糖質が含まれていると思うかもしれませんが、発酵の際に酵母によってアルコールに分解されます。そのためブランデーにも糖質やたんぱく質はほとんど含まれておらず、雑菌の繁殖を抑えられるというわけです。
よって未開封の場合は半永久的に飲むことができます。
ウイスキー同様、開封後は空気に触れ酸化が進んでいくので、半年~1年程度がおいしく飲める期間でしょう。
・強い濁り
微生物の汚染により濁りが生じている場合は飲むのを控えましょう。
・大量の浮遊物・沈殿物
異物が混入した可能性があります。冷却ろ過をしていないブランデーで成分が析出する場合は細かい結晶状なので、そうでない場合はご注意ください。
・色の変化
明らかに色が薄くなったり、緑や黒など本来の琥珀色からかけ離れた色になっている場合は、品質劣化が考えられます。
・香りの変化
香りが弱くなっている場合はアルコールが揮発して劣化しやすい状態になってる可能性があります。硫黄臭や薬品臭などの異臭がする場合は処分しましょう。
・味の変化
酸化が進んでいると酸味や苦みを感じることがあります。
・直射日光を避ける
紫外線はブランデーの成分を分解し、風味や色を劣化させる大きな原因になります。日の当たらない棚の中などで保管しましょう。
・温度・湿度変化の少ない場所に保管する
ウイスキーと同様です。
極端な温度変化はコルクが乾燥し密閉性を損ない、侵入した空気により酸化を招きます。ブランデーの成分が不安定になって品質劣化に繋がることもあります。
温度の目安は1年を通して15~20度に保てる場所を選びましょう。
湿度が高い場合はコルクにカビが発生し、カビの臭いがブランデーに移ってしまうため注意が必要です。
湿度の目安は60~70%程度が理想的です。
ワインセラーがあれば活用しましょう。
・ボトルを立てて保管する
ボトルを横にして保管すると、アルコール度数が高いブランデーはコルクを侵食して劣化させ、コルクが腐ったり液漏れの原因になります。
・振動を避ける
過度な振動はブランデーの成分に悪影響です。香味成分が物理的にかき混ぜられ、本来の香り・味が失われてしまいます。
ワインはウイスキー・ブランデーのような蒸留酒ではなく【醸造酒】で、蒸留酒よりもアルコール度数が低くだいたい11~14度程度ですが、ワインにも明確な賞味期限はありません。蒸留酒と比較すると少ないですがアルコールが含まれているのと、酸が存在することで天然の保存料となって微生物の繁殖を抑えています。ワインは保存状態が良ければ瓶内熟成が進み長期間楽しむことができます。
開封すると酸化が始まってしまいますが、1週間以内であればおいしく飲めるでしょう。
赤ワインの場合、2日目のほうが味がひらいておいしくなっていることがありますので、味の変化を楽しむのもおすすめです。
スパークリングワインの場合は炭酸が抜けてしまうので翌日までに飲むのがおすすめです。
・濁り
全体的に白っぽく濁っている場合、細菌汚染されている可能性があります。
・異常な泡立ち
非発泡性ワインが開栓時に強く泡立つ場合や、グラスに注いだ後も泡が消えない場合は、細菌により異常発酵が起きていることが考えられます。
・色の変化
赤ワインがレンガ色や茶色、白ワインが濃い黄色や茶色っぽく変色している場合、酸化が進みすぎてる可能性があります。
瓶内熟成が進んでいる可能性もありますが、異常な泡立ちと一緒に起きている場合は品質劣化の可能性が高いです。
・香りの変化
ツンとしたお酢のような臭い:酢酸菌による汚染が考えられます。
湿った段ボールの臭い:じめじめとした場所で感じる古い木材がカビたような臭いや、使い古された雑巾のような臭いをワインの欠陥臭としてこのように表現します。
濡れた犬の臭い:これはテイスティング用語として使われている言葉です。獣臭、革、馬小屋などの野性味のある臭いや、土っぽい、薬品のような臭いのことをこのように表現されます。少し感じるくらいであれば香りを構成する複雑味として捉えられますが、強く感じる場合は欠陥臭です。
他にもカビ臭、硫黄臭、酸化臭など、気になるようであれば飲むのは控えましょう。
・味の変化
酸味、苦みを感じる場合は酢酸菌汚染や品質劣化が起きているサインです。
非発泡性ワインなのに炭酸を感じる場合は異常発酵が考えられます。
また香りも味も弱く水っぽく感じる場合は、酸化が進みすぎている可能性がありますので注意しましょう。
・温度を一定に保つ
温度変化が大きい場所で保管すると下記のようなことが起こります。
-瓶内熟成のペースが不安定になりバランスを崩したり、本来の複雑さや深みが損なわれてしまう。
-高温により酸化が急速に進み、本来のフレッシュな果実味が失われ煮詰まったようなタンニンが強い味になる。
-低温になると成分が分離したり、熟成が止まってしまう。
ワインの保管にはワインセラーがおすすめです。1つのセラーで2つ温度設定できるものがあるので、赤・白・スパークリングでそれぞれ設定して保管しましょう。
おすすめの設定温度は以下です。
赤ワイン:14℃~16℃
白ワイン:6~8℃
スパークリングワイン:6~8℃
・湿度を一定に保つ
コルクの乾燥を防ぐため、湿度は70%前後を保つのが理想です。
これより湿度が低いとコルクが乾燥してワインと空気が触れることで酸化が進み、
湿度が高すぎるとコルクやラベルがカビてしまうことがあります。
ワインセラーは温度だけではなく湿度も設定できるものがあるので、もし高価なワインをお持ちの場合は検討してみることをおすすめいたします。
湿度設定機能がないものでも温度設定ができていればそこまで気にする必要はないでしょう。
・光を避ける
紫外線だけでなく、蛍光灯の光も当たらないように保管しましょう。どちらもワインの成分を劣化させる原因になります。
・コルク栓のワインは横に寝かせて保管する
ワインの場合、コルクとワインが接触することでコルクの乾燥を防ぎ、適度な湿りを保つことができるようになっています。
スクリューキャップの場合は立てても問題ありません。
日本酒も醸造酒で明確な賞味期限はないとされていますが、おいしく飲める期間の目安はあります。
普通酒・本醸造酒:製造年月から約1年以内
吟醸酒・純米酒:製造年月から約10ヶ月以内
生酒:製造年月から約半年以内
日本酒は時間が経つと、ウイスキーやワインのように熟成することはなく、劣化するのみです。そのためなるべく早く飲むことをおすすめします。
また、もし弊社へ買取やオークション出品をお考えの場合は、基本的には製造年月から半年以内のものに限定させていただいておりますのでご注意ください。十四代のような高額品については状態を考慮して検討いたしますのでご相談ください。
普通酒・本醸造酒:開封後1週間
吟醸酒・純米酒:開封後3日~1週間程度。香りや風味が繊細なため冷蔵で保管し、できるだけ早く飲み切るのがおすすめです。
生酒:開封後必ず冷蔵庫で保管し、2~3日以内、できれば当日中に飲み切るのが理想です。火入れ処理をしていないため非常にデリケートです。
・色の変化
本来透明または白っぽい日本酒が黄色や茶色っぽくなっていたら酸化が進んでいるサインです。常温で保管していた場合に起こりやすい変化です。
・沈殿物
澱(おり)ではない白く細かい浮遊物や沈殿物がある場合は雑菌による汚染が考えられます。
・気泡
スパークリングではないのに細かい気泡がみられる場合は、異常な発酵が進んでいる可能性があります。
・香りの変化
酸っぱい、焦げ臭やゴム、ヨーグルトのような臭いがする場合は飲むのを控えましょう。生臭い、カビ臭などももちろんアウトです。
・味の変化
酸味・苦みが強すぎる、ざらざらした舌触りがする場合は酸化や意図しない発酵などで劣化しているサインです。本来あったはずの旨味や甘みが感じられず抜けたような味になっている場合にも注意しましょう。
・冷暗所で保管する
日本酒は高温に非常に弱いお酒のため、冷蔵庫で保管しましょう。温度が高いと未開封でも酸化が進み劣化してしまいます。
光にも弱いので、冷蔵庫で保管する場合は冷蔵庫内の光が当たらない場所か、新聞紙などで包んで光から避けるようにしましょう。
・温度変化を避ける
冷蔵庫から出して長時間放置すると品質の劣化を早めてしまう原因になります。冷蔵庫から出したらすぐ飲みましょう。
・瓶を立てて保管
日本酒は基本的に立てて保管します。横に寝かせると液体とキャップが接触し、まれにキャップの成分が液体に溶け出してしまう可能性があります。
蒸留酒である焼酎はアルコール度数は20~40度で明確な賞味期限はありませんが、未開封で保存状態が良ければ詰口年月日から10年程度はおいしく飲めるとされています。
しかし焼酎にはワインのように瓶内熟成を促進する成分があまり含まれていないので、時間が経っても劣化するのみです。できるだけ早く飲むのがいいでしょう。
もし弊社へ買取やオークション出品をお考えの場合は、基本的には詰口年月日から半年以内のものに限定させていただいておりますのでご注意ください。
開封後は徐々に酸化が進んでいきますのできちんと密閉して保管し、1年以内に飲み切るようにしましょう。
・色の変化
透明な焼酎が黄色っぽくなっている場合は酸化が進んでいる可能性があります。長期間常温で保管されていた場合に見られやすい変化です。
また、にごり焼酎ではないのに白く濁っている場合は、微生物による汚染や、原料由来の成分が変化した可能性が考えられます。
・沈殿物
浮遊物や沈殿物がある場合も、微生物による汚染や原料由来成分の変化が考えられます。芋焼酎の場合は低温で保管すると油分が凝固して白い浮遊物が生じることがありますが、常温になると消えることが多いです。
・香りの変化
酸っぱい、焦げ臭、カビ臭、油っぽい臭いなど、本来の焼酎にはない不快な臭いがする場合や、明らかに風味が弱くなっていると感じる場合は、劣化のサインです。
・味の変化
酸味・苦味:酸化が進むと本来なかった酸味や苦味が強く感じられることがあります。
アルコールの刺激が強すぎる場合や、逆に味が薄い・ぼやけていると感じる場合も劣化のサインのため飲むのは控えましょう。
・直射日光を避ける
紫外線は焼酎の成分を分解し、風味や色を劣化させる大きな原因になります。棚の奥や冷蔵庫で保管しましょう。
・温度変化の少ない涼しい場所に保管する
急激な温度変化は品質に影響し劣化を進行させます。高温の場所で保管するとアルコールが揮発したり風味が変化してしまう可能性があります。暖房器具の近くに置くのは避けましょう。
・においの強いものと一緒に保管しない
焼酎は周囲の匂いを吸収しやすい性質があります。特に冷蔵庫で保管する場合は注意しましょう。
・瓶を立てて保管する
焼酎は立てて保管するのが一般的です。横にするとキャップの隙間から微量の漏れが発生する可能性があります。
5種類のお酒について賞味期限や保管方法をご紹介してきました。
お手元のお酒はまだ飲めそうでしたか?
未開封で飲まないお酒をお持ちの方は、ぜひLオークションへのご出品やお買取りをご検討ください。
毎月開催しておりますので、お気軽にお問合せお待ちしております!