山崎55年のすべてをまとめました。
「とにかくすごいお酒なのは分かるけどどんなお酒なのか?」と詳しく知らない方のために、改めてご紹介いたします。
サントリーシングルモルトウイスキー「山崎55年」
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▼国内販売
容量 700ml
価格 300万円(税別)
アルコール度数 46%
販売数量 100本限定 ※全量抽選販売。一般販売なし。
国内発売日 2020年2月5日~2月14日抽選募集受付
2020年6月30日発売 順次発送
購入方法 インターネット応募
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▼海外販売
容量 700ml
価格 660万円($60,000)
アルコール度数 46%
販売数量 100本限定
対象国 The House of Suntoryから、グローバル・トラベルリテール向けに卸売。
ロンドン、パリ、海南、香港、台北、アムステルダム、ソウル、デリー、イスタンブール、ドバイ、シンガポール
海外向け発売日 2021年10月25日
購入方法 空港などの免税店で購入
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サントリーは山崎55年を「サントリー最高酒齢ウイスキー」と謳っていますが、ジャパニーズウイスキー史上で見ても最も長熟、かつ最も高額の商品と思われます。
日本のウイスキー作りは、1923年にサントリー(当時は「寿屋」)が山崎蒸溜所を建設したのが始まりです。
今年で建設から100年なので、その半分の年月を超える原酒があったとは驚きです。
1964年以前に蒸溜、貯蔵されたモルト原酒のみが使用されています。
よって山崎55年に使われた原酒は、「最低で55年熟成」した原酒です。
ウイスキーのルール上、表記するのは使用した原酒の「最高熟成年数」ではなく「最低熟成年数」と決まっています。
そのため 55年以上熟成された原酒も使われているのです。
半世紀を超えて長く寝かせている間、定期的に品質チェックを行い、熟成20年を超えると貯蔵場所を変えたり、別の樽に移し替えたり、時間と手間をかけて大切に保管されてきました。
1964年に蒸溜したホワイトオーク樽原酒は酒齢56年、
1960年に蒸溜されたミズナラ樽原酒は酒齢60年です。
あまりに長期間熟成すると樽の成分が出過ぎて渋みが強くなってしまいますが、これらの55年以上の熟成樽の中から熟成のピークを迎え最高の状態となった、飲むに適した超長期熟成樽を厳選、ブレンドして作られています。
チーフブレンダーの福與伸二氏は以下のようにコメントしています。
『山崎55年は口に含むと優しい口当たりで、「伽羅(きゃら)」「白檀(びゃくだん)」のような香りが広がり、後から甘みやほろ苦さ、樽材から溶け出したウッディーな味わいに変わる。
そして濃厚なココナッツミルクのような余韻が、飲み終わって数時間経っても続くような印象。』
『55年経つと、個性が際立ってくる。
豊かな香りの表現や、長い熟成では樽の成分が出すぎて渋すぎたりするのを、どうおいしく飲んでもらえるかを追求してきた。』
1961年生まれの福與氏は当時59歳。
1984年にサントリーに入社し、イギリスへの出向勤務を含め2020年時点で36年間、長きに渡りウイスキーに携わってきた福與氏のブレンド技術は世界屈指のものと言っても過言ではないでしょう。
他の長熟ジャパニーズウイスキーでは若鶴酒造から
「三郎丸1960シングルモルト55年カスクストレングス」
が2016年に55万円(税別)、155本限定で発売されました。
山崎55年と同列の酒齢で、先に発売されたのはこちらのウイスキーでした。
最高額ジャパニーズウイスキーは、山崎55年がダントツで単独1位です。
2位はイギリスのナンバーワン・ドリンクス・カンパニーから発売された
「軽井沢1960 52年熟成 シングルカスク」
で、2013年5月に200万円(税別)で発売されました。
2012年軽井沢蒸留所の閉鎖後に同社が残っていた原酒を買取り、発売に至りました。
残存原酒は多くなかったようで、瓶詰めして発売できたのはわずか41本。
山崎55年はこれを大きく上回る300万円(税別)、200本限定(内100本は海外版660万円)での発売ですが、希少価値で見ると同じくらいの価値になりそうです。
ちなみに世界のウイスキーで見ると、「マッカラン ザ・リーチ」の81年が最長熟成と思われます。※2023年11月時点
先程お伝えした長期熟成から来る渋みはあるのか、どの程度なのか気になりますね。
大きなダンボール箱で郵送された山崎55年のビジュアルや、付属品をご紹介します。
【内容物一覧】
・ダンボール箱(BOTTLE ID、氏名プリントあり)
・本体ボトル外箱
・本体ボトル化粧箱(蓋の内側にBOTTLE ID、氏名刻印あり)
・山崎55年本体ボトル(裏にBOTTLE ID、氏名刻印あり)
・木箱の取扱説明書
・ミニボトル、冊子の外箱
・ミニボトル、冊子の箱
・山崎55年50mlミニボトル(ラベルにBOTTLE ID、氏名プリントあり)
・サントリーの歴史や商品について記載された冊子
・封筒(購入のお礼/マスターブレンダーお薦めの愉しみ方、納品書が封入)
・カード(BOTTLE ID、氏名プリントあり。山崎蒸溜所テイスティングカウンターで提示して使うもの)
至る所にアルファベットの当選者氏名とBOTTLE IDが入っていて、「自分専用のボトル」感が満載で嬉しくなりそうです。
本体ボトルはクリスタル製で、「山崎」の複雑な筆文字を含め商品名は丁寧に彫刻されています。
ジャパニーズウイスキー史上最高酒齢の「55」の部分には金粉と漆が施されており、ひと際目を惹く貫禄に仕上がっています。
透明な裏ラベルの下には、ラベルと同じくらいの幅で大きめに氏名とBOTTLE IDが刻印されており、弊社で現物確認したボトルの底には「S」のようなマークの刻印もありました。
キャップ部分は黒地にまたもや金粉が散りばめられた越前和紙と、京都の伝統工芸品・組紐で封印されています。
組紐も黒と金色で揃えてあり、高級感を醸し出す一因となっているようです。
化粧箱にはミズナラ材が使われており、正面、上下面には駿河漆が施されています。
黒い鏡のようにきれいに反射し、「山崎」などの文字は金粉であしらわれています。
金粉が少し剝げて文字の周りに散り散りになっている状態もまた輝いて見えて素敵です。
蓋の内側にも氏名とBOTTLE ID、加えて商品名、山崎の歴史、山崎55年の紹介文の刻印があります。
山崎12年や10年のミニボトルと同じような仕様で、キャップフィルムにはビニール製のものです。
本体ボトルとは異なり、氏名とBOTTLE IDは刻印ではなく表ラベルにプリントされています。
本体ボトルを開けるには一大決心が必要ですが、ミニボトルであれば本体に比べると少々気楽に開けられそうですね。
まずはミニボトルからテイスティングしてみてくださいと言わんばかりのサントリーの配慮が粋で感動です。
創業者、歴史、蒸溜所、製造過程などがまとめられた本です。
氏名とBOTTLE IDがプリントされたメンバーカードのようなものです。
なんとこのカードを山崎蒸溜所のテイスティングカウンターで提示すると、「山崎NV」「山崎12年」「山崎18年」「山崎25年」のうち1杯無料で飲ませてもらえるサービス権付きです!
しかも1回きりではなく、2021年12月末日までの期間中、12回まで有効ということで、蒸留所の近くにお住まいの方にとっては最高のサービスです。
当選者は山崎のVIP顧客として登録されたのでしょうね。うらやましい限りです。
私は山崎55年を飲んだことがありません。
どんな味なのか、先にご紹介したブレンダー福與氏以外の一般の方の感想も知りたくて調べてみました。
山崎55年を手にしている人は、世界で200人しかいません。
その200人のうち、感想をインターネット上に投稿している人は、ほんの数件でした。
当たり前ですね。
当選者のレビューを一部ご紹介させていただくと、
「香りが部屋中に大爆発する」
「苦さ、辛さ、酸味、甘さなどウイスキーのすべての要素が感じられる」
という、やはりお手頃なウイスキーとは全く別物らしい感想が述べられていました。
現時点で200人のうち何人がこの超高級品のもはや芸術品であるウイスキーを開封して、実際に飲んでいるのかは分かりませんが、恐らく半数以上がまだ大切に保管しているのではないでしょうか。
飲むと決めても、いつ、どこで、誰と、どうやって、何と合わせて飲むのかなど、開ける前に悩むことがたくさんありそうです。
飲んだことがある方、これから飲む予定があるという方は、ぜひ感想を教えていただけると嬉しいです!
山崎55年は1回目の国内販売の際は100本限定、抽選で販売されました。
サントリー山崎ホームページからの応募で、氏名や住所など一般的な項目を入力した後、最後に3つ、こんな項目がありました。
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Q10.「山崎」のどのような点が魅力だと思いますか?ご自由にお書きください。(最大400字)
Q11.「山崎」との思い出やエピソードがございましたらお教えください。(最大400字)
Q12.『山崎55年』に対するご意見がございましたらお教えください。(最大400字)
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「抽選」と謳っているのに作文の提出を求める理由は、恐らく転売防止のためと思われます。
ジャパニーズウイスキーの転売は国内だけでなく海外でもかなり盛んに行われています。
2014年以降、特に中国の投資家を中心に「山崎」「白州」「響」などが人気を集めており、プレミア価格で取引されることはもはや常識となっています。
弊社が運営するお酒専門オークション”Lオークション”でも、毎月中国人バイヤーが高額ウイスキーを落札していきます。
「世界に誇る日本のウイスキーをつくりたい」という想いを持つサントリー。
世界中で資産として認められていることは確かですが、珠玉の限定100本については資産として保管されるよりも、真の山崎ファンに飲んで愉しんでもらいたかったのかもしれません。
何万もの応募が殺到したはずですので、作文を全て読むのは不可能だったでしょう。
ですが100名程度なら確認できたのではないでしょうか。
ここからは完全に私の考察です。
応募の中からランダムに100名選び、作文が丁寧に書かれているか確認し、山崎への思いが伝わってこない人は落選として、落選した人数分を再度応募の中からランダムに選んで作文を確認し・・・と、100名分の熱意が集まるまで抽選を繰り返したのではないかと考えます。
また、販売価格は330万円(税込)と高額です。
発売当時、弊社へお買取りのお問い合わせをいただいた当選者が東京のタワーマンションにお住まいだったことから、応募時の住所から経済力を概算して当選者を決めていたのではないかとも考えられます。
高額なウイスキーを買い求める人の住所が、古い物件の狭いワンルームの場合、そこを事務所として登録している転売ヤーの可能性があります。
このような視点からも転売防止に取り組んでいたとすると、「本当に山崎が好きな人に届けたい」というサントリーの徹底した熱い思いがあったと思われ、胸にジーンときますね。
上記のような方法なら「抽選」と謳っていても納得できますし、さらっと「山崎毎日飲んでいます」など例え飲んでいなくても、誰でも書けそうな1文だけ提出した人に当たるより、清々しい気持ちで落選の乾杯(完敗)ができそうです(笑)
運だけでは通れないアリのトンネルくらい狭き狭き門をくぐられた方には、心からお祝い申し上げます。
当選された方は、この先お酒の話になった際には死ぬまで自慢話として使い倒しそうですが、高額で超希少なものだけに、まだ手元にある場合は知り合って間もない人に話すのは注意した方がよさそうです。
SNSに投稿する際も、個人が特定されないように気を付けてください。
もしも盗まれたなんてことになったら、ボトルに当選者の刻印があるので見つかるかもしれませんが、すでに海外に渡っていたり、空瓶としてオークションに出品されていたりするかもしれません。
その絶望感、喪失感、虚無感は想像しただけで震えてしまいます。
そうならないためにも、手元にあるうちにぜひご自身で飲んでいただきたいです。
転売は控えるよう呼びかけても、やはり入手後オークションに出品する方もいます。
2020年の発売からの出品履歴をまとめました。
香港で開催されたオークションが、山崎55年が最初に出品されたオークションです。
2020年8月開催での出品なので、同年6月に配送された後すぐ出品ということになります。
8500万円で落札され、ジャパニーズウイスキー史上最高記録を更新しました。
出品の内容物は、当時のオークション画面から恐らくボトルと化粧箱のみではないかと思われます。
2023年6月に開催されたアジア圏でのオークションで、5800万円で落札されました。
出品履歴ページには、購入者の氏名が刻印されていることと、付属品すべてと配送時のダンボール箱まである旨が記載されています。
前年までの実績から見るとグッと下がってはいますが、もとは販売価格330万円(税込)のウイスキーです。
それに約20倍の価値がつくのは驚異的な出来事であることに違いありません。
2023年11月アジア圏でのオークションで、5,200万円で落札されました。
予想金額 4000~6000万円の中、落札価格は5200万円となりました。
付属品は木箱・外箱・カード・冊子・ミニボトル(50ml)。
購入者氏名の刻印が入っている国内向けに販売された方のボトルです。
6月開催と比較すると、落札価格は600万円下がり、付属品は配送時のダンボールだけ付属がない状態でしたので、落札価格にそこまで大きくは影響してなさそうです。
世界で200本しかない超レアボトルなので、今後も年に1回あるかないかというペースで出品されていきそうです。
海外のオークションでは、落札価格自体は高く付く傾向はありますが、実際の輸出手続きや、税金、日本より高額なオークション手数料を考慮すると、安全性も考慮して日本国内での換金をおすすめしています。
(↑目立たせる)
今年2023年、山崎55年のテイスティングイベントが開催されました。
開催地はアメリカオレゴン州ポートランドにある有名高級バー「Multnomah Whiskey Library(マルトノマウイスキーライブラリー)」で、社交クラブとしても運営されているようです。
口コミサイトで見るそのバーは、壁棚5~6段にお酒がびっしり数百種類ほど並べられていて圧巻です。
もちろんジャパニーズウイスキーも並んでおり、サントリー創業者である鳥井信治郎氏の写真も飾られています。
7月21日、22日の2日間に渡るイベントで、参加チケットは1人100万円(7,000ドル)。
1人1ozずつのテイスティングだったようで、700mlを1oz(30ml)ずつ配分していくと約23杯分になります。
30ml 100万円×23杯=2300万円となり、国内の直近の落札価格6670万円から考えると約半額のかなり良心的な価格設定でしょうか。
それでもかなり高額なチケットですが、イベントの内容もそれに見合うような超豪華なものでした。
なんとサントリーチーフブレンダー・福與伸二氏を迎え、原酒について解説し参加者とディスカッションを繰り広げたそうです。
作り手の話を直接聞けるとは、コアなウイスキーファンにとってまさしく夢のようなイベントだったでしょう。
さらに、テイスティングは山崎55年だけではなく、
山崎12年
白州12年
山崎18年
白州18年
山崎18年ミズナラ100周年記念エディション(2023年海外限定販売)
白州18年ピーテッドモルト100周年エディション(2023年海外限定販売)
も含まれていて、それを高級レストランのコースディナーとともにいただけるのは涙が出そうなくらい贅沢過ぎる至高の時間です。
ゲストは福與氏の他にも、世界的に有名なバーテンダーのジム・ミーハン氏、スピリッツ専門のライターで、かつて有名なウイスキー情報Webサイト「ウイスキーマガジン・ジャパン」の編集長を務めたデイヴ・ブルーム氏などが参加しました。
ウイスキーを作る人、ウイスキーを提供する人、ウイスキーの魅力を発信する人が集結したことで、参加者はウイスキーを多方面からより深く知ることができたでしょう。
本イベントの開催は1度のみで、次回開催の予定は今のところないようです。
アメリカに渡った山崎55年は20本あるようなので、もしかするとまた開催される日が来るかもしれません。
気になる方はお店のホームページをチェックしてみてください。
Multnomah Whiskey Library – HP
Multnomah Whiskey Library – Trip advisor
資産として購入した、または譲り受けた場合、できるだけ高く売りたいですよね。
山崎55年ほどの超希少な商品を高く売るには、オークション一択でしょう。
オークションの仕組み上、価格を決めるのは入札者なので、出品者が「これくらいなら売れるだろう」と設定した価格よりも大幅に上回って落札される可能性があります。
高額品を多く取り扱うオークションの入札者の中には、資産家や投資家、コレクター、またはそれらを顧客に持つバイヤーが参加していることが多いです。
ジャパニーズウイスキーは世界中で需要が高いカテゴリーのため、海外で開催されるオークションや、国内開催の中でも海外とのコネクションがある参加者が集まるオークションに出品するのがおすすめです。
―Lオークションの特徴①海外バイヤーの参加率が高い
弊社が運営するお酒専門オークション”Lオークション”は、国内でのオンライン開催で、入札者の多くを海外のバイヤーが占めています。
世界中でジャパニーズウイスキーが愛され、求められていることに変わりはありませんが、国内の相場(取引価格)と海外での相場では価格に開きがあります。
海外相場は常に国内相場を上回る高水準をキープしていて、主に中国の富裕層が持つ資金力はお酒業界では世界トップクラスです。
このような資金力のあるところへ売れる環境が、Lオークションにはあります。
―Lオークションの特徴②出品の手間が最低限で済む
山崎55年のような超高額品をご出品の際は、郵送もしくは直接お預かりに伺わせていただきます。
あとは会員登録と落札希望価格だけ決めていただければ、Lオークションへの出品が可能です。
他に必要な作業の商品撮影や商品情報登録、入札者対応、梱包発送などはすべて弊社スタッフで代行いたします。
―Lオークションの特徴③下見会場で現物確認可能
オンライン開催ですが、参加者が現物を確認できる下見会場を毎月設けています。
Lオークションは出品者様、入札者様双方が安心して参加できる環境づくりを大事にしておりますので、
出品商品はすべてお酒専門の査定スタッフが真贋済みで、撮影の際は商品状態がしっかり伝わる写真になるよう心掛けています。
それに加え、高額商品の細部の質感などは直接見て判断したいという入札者様のご不安を解消するサービスとして、下見会場をご活用いただいております。
オークションへ出品される際は、ぜひLオークションも1候補としてご検討ください。
山崎55年についてひと通りまとめましたが、いかがだったでしょうか。
どれだけ貴重で、どれほど入手困難なウイスキーであるか少しでも伝わっていたら嬉しいです。
今後も国内外のオークションに出品されることがあると思われますので、随時更新していきます。
山崎55年以外でも、Lオークションへのご出品、お問合せなどお待ちしております。
また、「山崎50年」、「響35年」「ヴィンテージマッカラン」についても詳しくまとめていますので、そちらもぜひご覧ください。