サントリーブレンデッドウイスキーのフラッグシップ「響」。
響は5種類のヴィンテージがリリースされており、その中の最高峰が「響35年」です。
35年は数量限定でしか販売されていない最高級品で、流通量は世界で750本の超希少品です。
近年ジャパニーズウイスキーはサントリー、ニッカを中心に国内・海外問わず注目が高まっており、その価値は発売当時の何倍にも高騰しています。
響35年の発売日や定価、直近の取引価格などをまとめてご紹介します。
商品概要
読み:じゅうさんだいいまいずみいまえもんさく いろえうすずみそうかもんようしゅびん
2002年発売
定価100万円(税別)
150本限定発売
直近落札価格492万円(税別)※Lオク2023年10月出品分
響35年シリーズ5つのうち最初にリリースされた、芸術品×ウイスキーの融合作品。
人間国宝・十三代今泉今右衛門氏の最後の作品となりました。
サントリーは1950年代から記念ウイスキーなどに有田焼のボトルを使用しており、デザイナーはそれらに強く魅力を感じていたそうです。
1998年、響35年のデザイナーは今右衛門氏にウイスキーのボトルを作るよう依頼したところ、最初は「和の器にウイスキー?」と不審に思ったそうですが、デザイナーの熱意にほだされ引き受けることになります。
構想を始める今右衛門氏ですが、なかなか満足できるデザインにならず、妥協を許さない熱心な仕事ぶりから構想は長期戦となり、試作品が焼き上がったのは2年後の2000年のことでした。
ブレンドしたウイスキーの試作を今右衛門氏に試飲してもらうと、香りの華やかさに驚き、試行錯誤して焼き上げた作品に赤い雲の模様を加えることにしました。
もともとウイスキー好きの今右衛門氏は「これで中味と器のバランスがとれるからね。」と、ここでも妥協のない姿勢を見せました。
そしてこれに感銘を受けたブレンダーは、さらに1樽、秘蔵のミズナラ樽原酒を加えることを思いつきます。
こうしてお互いを刺激し合い高め合う形で、響35年が爆誕したのです。
今右衛門氏が驚いたというウイスキーの中味は、誰もが惚れ込んでしまう仕上がりではないでしょうか。
モルトウイスキーは1960年~1966年に山崎蒸溜所で蒸溜した超高酒齢原酒の秘蔵樽から厳選してヴァッティングされています。
グレーンウイスキーは1966年以来オーク樽で熟成していた円熟の秘蔵原酒を使用。
モルト、グレーンともに超長熟、超希少な原酒を厳選しブレンドした上で、さらに半年オーク樽で後熟した、中味も贅沢を極めた逸品です。
この六面取りデザインの有田焼ボトルは、今右衛門氏が響35年のために特別にデザインしたものです。
「色絵薄墨草花文洋酒瓶」という名称は、有田磁器の伝統に則った命名方式で名付けられていて、それぞれの単語でボトルを表現しています。
「色絵」
色鍋島特有の絵付けをしたことを表しています。
色鍋島とは、陶器に呉須(ごす。藍色の顔料。顔料とは水や油に溶けない着色粉末のこと。)で下絵を施した上で本焼後、赤黄緑の3色を基調に上絵具で絵を付け、本焼よりも低い温度で焼成(しょうせい。成形や絵付けした陶磁器を焼くこと。)したものです。
「薄墨」
今右衛門氏が生み出した下絵付けの技法で、陶器全体に呉須を吹付けた「吹墨」を考案後、呉須ではなく墨色の顔料を吹付ける「薄墨」技法に発展しました。
全体をグレーで覆うこれまでの色鍋島にはない技法を確立しました。
「草花文」
メインの草花の絵柄のことです。
この草花は今右衛門氏が好んだ中近東の更紗から着想を得た想像上の模様です。
更紗(さらさ)とは、インドが起源の木綿地に花や人などの模様を染め付けた布製品で、「和更紗」として日本にも伝わっている技法です。
「洋酒瓶」
有田磁器名の最後は「皿」「碗」「花瓶」など形状を表します。
今右衛門は「ウイスキーのための瓶」であることを「洋酒瓶」として表現しました。
商品概要
読み:さんだいとくだやそきちさく ようさいびん へきよう
2007年発売
定価100万円(税別)
150本限定発売
直近落札価格1,450万円 ※オークション2023年2月
本ボトルは九谷焼伝統の色絵磁器で、八十吉氏が響35年のために特別に造形したものです。
「耀彩(ようさい)」という八十吉氏独自の技法が用いられ、「光り輝く彩(いろ)」という意味の通り、美しい色どりが目を惹きます。
八種類の特製釉薬(うわぐすり。素焼きの磁器に塗って焼成することでガラスの層に変化し、水の浸透を防ぎ、つやを出す。)を面相筆(めんそうふで。日本画用の極めて細い筆で、人や動物の顔を描く際に用いられる。)で塗り、自然の光が降り注いでいるような紺から黄色の美しいグラデーションを具現化しています。
世界でも類を見ないこの繊細さは、まさに人間国宝・三代八十吉氏だから成せる、神秘的で奥深い輝きを表現する究極の技法なのです。
異なる幅で18面に面取りされた線と、特製釉薬の調和が見事な耀彩瓶。
その名前には以下のような意味が込められています。
「耀彩」
古九谷研究や上絵釉薬調合の第一人者でもあった祖父(初代)の直伝の調合技術を駆使して創成した八十吉氏独自の彩釉(さいゆう。釉薬を施すこと。)パターンにつけた名前で、「光り輝く彩(いろ)」という意味です。
「碧陽」
八十吉氏がこの響35年の瓶のために特別に名づけた名称で、「耀彩」の技法の中の紺から黄色へのグラデーションパターンを表し、またSUNTORYのSUN(太陽)の意味も含まれています。
前作と同様に、モルトウイスキーは1960~1971年に蒸溜され山崎蒸溜所で35年以上熟成された原酒を、グレーンウイスキーも35年以上熟成された原酒を使用し、ブレンド後に半年寝かせて仕上げています。
商品概要
読み:じゅうよんだいさかいだかきえもん にごしでやまつつじもんようしゅびん
2012年3月21日発売
定価100万円(税別)
150本限定発売
直近落札価格560万1千円 ※オークション2022年10月30日
柿右衛門氏が響35年のために特別に造形した洋酒瓶。
「濁手」とは、柔らかい温かみのある乳白色の素地(そじ。加飾する前の状態)を意味する言葉です。
濁手素地は柿右衛門氏の作品の大きな特徴のひとつで、1670年代にこの製法が完成したと言われています。
しかし1700年代(江戸中期)には上記の柿右衛門様式から金や赤を多用した「金襴手様式」が主流になったことと、国内外の情勢の変化の影響により、濁手の製作は休止の危機に追い込まれます。
その後十二代、十三代が柿右衛門家に伝わる土合帳(つちあわせちょう)などの古文書を参考に濁手素地の復元に取り掛かり、試行錯誤の末1953年(昭和28年)に完成させました。
約200年もの間眠っていた伝統技術は時を超えても人々の心を掴み、1955年には無形文化財に指定されました。
十三代が代表を務めた「柿右衛門製陶技術保存会」にて濁手の保存と製作育成が行われ、十四代はこれを継承し伝統技術を次世代へ引き継ぐ役割も果たしました。
2024年現在は十五代が継承しています。
柿右衛門氏自身が大分県の九重山麓(くじゅうさんろく)に足を運んでスケッチした山つつじがデザインの元になっています。
この山つつじ模様は、野の花を愛していた柿右衛門氏が生み出したもので、花瓶や皿などの作品にも描かれています。
酒齢35年以上、最長で46年の超長期熟成のモルト原酒をヴァッティングし、
グレーン原酒も35年以上のものを厳選してブレンドされています。
商品概要
読み:しょきありた そめつけぼたんちょうずつつがたびん
2016年発売
定価70万円(税別)
150本限定発売
直近落札価格501万4千円 ※オークション2023年8月19日
名門・岩尾對山釜(いわおたいざんがま)の匠によって制作されたボトルです。
「白き黄金」と称賛される初期有田の白磁(はくじ。白い素地に透明な釉薬を施した磁器)を再現しています。
表面には非常に細やかで繊細な筆使いが伺える牡丹と、蝶の模様が染付されており、牡丹は幸福や富貴を意味し、蝶には長命への想いが込められ丁寧に美しく描かれています。
また、牡丹は白磁に白で凸凹模様としても施されており、近くでよく見るほど美しく、白磁に白の模様という控えめで儚くも、高い技術力を感じられる逸品です。
樹齢約100年の国産の杉を使用した木箱に収められています。
有田焼が始まった初期1610年代~1650年頃に作られたものが「初期有田」または「初期伊万里」と呼ばれます。
白磁に青色のみで草花や鳥などの生き物の柄が染付されているのが特徴です。
染付は通常素焼きをしてから絵付けをしますが、有田焼は素焼きをする前に絵や色をつける「生掛け(なまがけ)」という染付の技法が使われています。
モルトは多種多様な原酒の中から酒齢35年以上、最長でなんと54年の超長期熟成モルト原酒を厳選して使用。
グレーン原酒も35年以上の円熟原酒が丁寧にブレンドされています。
商品概要
読み:こくたにうつし いろえぼたんちょうずつつがたびん
2016年発売
定価70万円(税別)
150本限定発売
直近落札価格560万5千円 ※オークション2023年2月20日
長らく絵付けに従事してきた銀泉窯(ぎんせんがま)の匠が、古九谷の伝統的な絵柄「古九谷色絵亀甲牡丹蝶文」を模して描いた作品。
ボトルの肩にその絵柄が顕著に反映されています。
大胆に開いた牡丹の花びらの存在感が大きく印象的です。
九谷焼は1655年、九谷に窯が開かれたことから始まったといわれています。
しかし50年ほど経った1700年頃に廃窯となり、1800年代に再度複数の窯が築かれました。
再興された窯で作られた色絵磁器を「再興九谷」と呼び、廃窯するまでの約50年間、初期に作られた色絵磁器を「古九谷」と呼びます。
そして古九谷を倣って作られたものを「古九谷写し」や「古九谷様式」といいます。
中身は同時に発売された「初期有田」と同じ原酒で構成されています。
酒齢35年以上の原酒をベースに、最長で54年の超長期熟成モルトも使用。
グレーン原酒も35年以上熟成されたものが使用しています。
2016年に発売された「初期有田 染付牡丹蝶図筒形瓶」「古九谷写し 色絵牡丹蝶図筒形瓶」の2本は、2023年12月開催のLオクにセットで出品され、
落札価格1186万2600円(税別)まで競り上がりました。
1本593万円の計算になります。
販売価格70万円の約8.5倍と飛び抜けた価格から、日本の伝統技術と希少なジャパニーズウイスキーの融合作品は、やはり世界的に価値の高いものであると再認識させられました。
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